イラク情勢が混沌としている。ブッシュvsフセイン、世界の保安官にならず者国家との戦いという当初の構図は、それなりにわかりやすかった。アメリカにとってフセインの首が取れなかった湾岸戦争のリベンジでもある。それが、査察の継続をめぐっていつの間にか、アメリカ・イギリスvsフランス・ドイツの対立軸へと移行していった。
今や、開戦か査察継続かで、世界中が対立している。特にフランスはアメリカに対抗すべく、イラク問題を契機にEUを反対でまとめることで、欧州のリーダーの座を得ようとしている。同じ欧州で、常にフランスと覇権を争うイギリスはそう見る。おそらくそうだろう。
ロシア、中国は、この争いの帰趨を計算しながら微妙な動きをみせる。一向に国連決議もできない状況がつづきアメリカは怒り心頭の様子で、特に戦争反対の急先鋒のドイツから駐留米軍を引き揚げ、これを東欧諸国に移すとブラフをかける。ドイツは今不況の真っ只中である。基地がなくなれば経済的に困る。逆に東欧諸国は経済的に貧しい国が多い。米軍の駐留が実現すれば莫大な経済的恩恵をこれらの国にもたらす。東欧諸国はEUへの加盟を申請している。経済の自立のためにも、EUへどうしても入らなくては生き残れないのだ。
EUへ加盟目前の東欧諸国を支援することで、アメリカは、EUの盟主たらんとするフランスを牽制するのである。あらゆる政治的発言、判断のウラにそれぞれの国の計算が交差する。
国連の場では、権謀術数のかぎりが尽くされる。議論の先が見えない。大量破壊兵器、テロとの関係、イラク問題の発端はどこかへやらだ。イラク後をにらんだ利権の争いこそ本質のようである。世界中の都市での戦争反対の声。もちろん本当の反戦の声が大半と思うが、国際政治の頂点で繰り広げられる、戦争はすべきでないという発言は、実は計算打算の産物以外の何ものでもないだろう。外交とは、国益とは、きれいごとで語ることの出来ない世界である。
それにしても、日本は態度がはっきりしない。日米関係、北朝鮮問題、平和憲法があってはっきりと打ち出せないからだという。いつもの言い訳である。「よく国連の議論を聞いたうえで判断します」(自分も国連の一員だろう!)わが国のリーダーは他人事のようにいう。
かつてアメリカからショーザフラッグ(旗色をっはきりしろ)と言われたが、今回も同様である。国会答弁と同じ、これは政治家ではなく、差しさわりのない官僚の答弁である。これが、計算しつくした、おとぼけであるならまだしもだが、結局戦争が始まったとして、戦後処理に莫大なお金を払っておしまいという結末に今回もなるだろう。結局なんでもお金でしか解決できない、しない、外交三流国である、ということだ。
その金が不況にあえぐ今の日本にあるのか。湾岸戦争時とはまったく経済状況が違う。このしわよせは、結局われわれに降りかかってくることだけは確かに違いないのである。
(S)
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