映画「チコと鮫」

不思議な夢を見た。見たこともない鮮やかなどこまでも広がる青の海の中に僕はいた。美しすぎるほどのブルー。かすかに波の音を聞いた気がするが、錯覚かもしれない。静かな青が際限なく広がる夢だ。夢から覚めて思いをはせてみたが、なぜそんな夢を見たのか思い当たるふしはない。

その日。オフィスでPCのブルーのトップ画面を見ていたら、急に昔見た映画「チコと鮫」を思い出した。瞬間、あのタヒチ(確かボラボラ島が舞台だった)の群青の海と、夢とが重なった。「チコと鮫」といっても、もう30数年前の映画だから、見た人は限られていると思う。団塊の世代なら、見た、感動した、という映画に数えられていてもおかしくない一作だ。舞台はまだ昔ながらの自然が残るタヒチ。そのタヒチの少年チコがある日海岸に迷い込んだ鮫の子どもと出会い、チコと鮫との不思議な交流が始まる、やがて鮫は大きくなり、大人の知るところとなり、やむなく少年と別れ、タヒチの海に帰っていく。タヒチは欧米の観光客が訪れるようになり、少年を取り巻く自然がどんどん失われていく。やがて、獰猛な鮫を退治するショーが観光客の前で繰り広げられ人気を集める。鮫をエサでおびき寄せる、そこへ、ぐつぐつに熱湯で煮た果実の実を海中に投げ入れる、エサとかん違いした鮫の群れは、こぞって飛びつく。しかし丸呑みした果実の実は、たっぷりと熱湯が含まれている。胃を焼かれた鮫は次々と息絶えていく。それを見て観光客は沸き立つ。チコは複雑な思いを抱く。鮫も、何もかも、このタヒチでは友達、ともに暮らす者同士でなかったのか。鮫を擁護するチコは仲間からもうとまれていく。そんなある日、チコは、子どものころに出会った、あの鮫に遭遇する。チコは、鮫とともに、この危険な島を、文明に毒されていく島を去る決心をする。

こんなストーリーだったと思う。映画では、このチコと鮫との出会いとは別に、チコが少年だったころ、一緒に鮫と遊んだ、白人の少女との出会い、ほのかな初恋も描かれている。青年になって、チコは、この女性と再会し、島から鮫とともに出て行くとき、チコはこの女性と一緒だった。画面いっぱいに広がる青いタヒチの海、その波立つ沖合いを、手漕ぎのボートで木の葉のように揉まれながらも、希望の島へと向かうチコと彼女と鮫。ラストシーンは、今でも鮮明に覚えている。思春期の僕には、切ないラブストーリーでもあった。夢に見たグランブルーの海、それは「チコと鮫」のデジャブだったのか。としたら、切ない恋の出会いも訪れたりして・・(ナンテことはナイカ)ともあれ、、もう一度「チコと鮫」を見てみたい。リメイクバージョンはあるらしい。オリジナルを見る機会があったら、ぜひ教えてほしい。
(S)