ロックフェスの思い出

先週はFUJIロック、先々週は横浜ロックオデッセイと、夏のロックフェスティバルも盛大に盛り上がったようだ。さすがにFUJIロックに行く元気はないが、ケミカル・ブラザースだけは観たかった。横浜では何といっても、結成40年にして初来日というフーだろう。ストーンズやビートルズといった時代のイギリスの人気バンドだった。佳境に入るとギターを振り回しアンプやらなにやらをメチャメチャに破壊する狂気の舞台は凄まじかった。パンクの元祖かもしれない。そのフーがニッポンに来たとは感慨深い。相変わらずのパワーを見せてくれたと聞き、嬉しかった。40年前のデビューを知らない、もちろん生まれてもいない若いファンがライブで熱狂し、フーを語るなんて、ナンテ素晴らしい奇跡なんだろうと思う。音楽は永遠なのだ。

ボクが20代の頃は、まだ屋外でのロックフェスは珍しかった。人気絶頂の頃のピンク・フロイドを見たのが懐かしき思い出である。伝説として語り継がれるウッドストックのロックフェスが映画「ウッドストック」となり、ベトナム反戦の高まり、若者のドロップアウトといった時代背景もあって、全世界にロックフェスの火の手が挙がった。

「ウッドストック」は映画公開時にも行ったが、その後再上映されるたびに駆けつけた。オープニングを飾る、軽快なCSNYの「ウッドストック」、デイビッド・クロスビーの美しい高音ボーカルがロックフェスの期待と高まりを見事に表現している。そうそうたるミュージシャンが出演している。若き日のサンタナも存在感があった。だが「ウッドストック」といえば、何といってもジミ・ヘンドリックスだろう。中でも、アメリカ国歌を、空爆する爆撃機の音に似せ、エレキギターを全開させた演奏はあまりにも有名すぎる。激しくも哀しいその演奏は、アメリカという祖国への彼のメッセージだった。急に聴きたくなってCDを探した。そして大音量のヘッドフォーンで楽しんだ。

その映画「ウッドストック」のエンディングで演奏される彼の曲がある。何十万という人を集めたロックフェスが終わり、人々は去り、まばらな人とゴミと砂塵が舞う広大な会場をカメラが映し出す・・そのエンドロールの光景に、ジミ・ヘンドリックスのギターの独奏がかぶる。宴の後の寂しさを感じさせる、哀愁たっぷりのバラードだ。

ロックフェスに行けないこの猛暑の夏、つかの間の夏休みに(ギタースコアの入手は不可能と思うので)、頭に残るそのメロディを追いかけて、ジミと同じように一音下げたチューニングで、自分なりに弾いてみたいと思っている。
(S)