「コープス・ブライド」に脱帽!
 3年前ほど前のこのコラムで、ティム・バートンの「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」について書いた(ティム・バートンの大ファンであることも告白した)。今でも、クリスマス前には、一度ならず二度はDVDで観るマイフェイバリットだが、東京DLにも登場するようになって、マイナーレベルだったナイトメアファンが、ここ2、3年で増えてきたらしい。ナイトメアの話が通じる関係が広がったのはうれしい限りである。主人公ハロウインの王ジャックを始め、登場人物のフィギュアやキャラクターグッズも新作がどんどん出回る(これもうれしい!)。我が家のナイトメアコレクションも、次々と増えにぎやかになってきた。私以上に子どもたちが大ファンなのだ。

 この秋公開された「チャーリーとチョコレート工場」は、そのティム・バートン監督の新作映画。ご存知のように、同監督の国内公開作品ではナント早くも興行収入ベストワンの大ヒットになった。公開と同時に映画館に駆けつけたが、観客層が従来の一部マニアから一般の若いファンに拡大しているのには驚いた。ちょっとした、ティム・バートンそして、ジョニー・ディップ(同映画主人公)ブーム、到来である。ご覧になった方が多いと思うが、映画はもちろんチョコレート工場の摩訶不思議な世界が見ものであり、奇才ティム・バートンの縦横無尽、面目躍如といったところだが、ボクは、映画の導入部分で展開される少年と少年を取り巻くファミリーの場面が、情感にあふれて、しかもこれから始まるであろう冒険を期待させて、素晴らしいと思った。ここだけでもこの映画の大半の点数を稼げた気がする。初めて、ティム・バートンの映画を観た若い人たちも、きっと。彼の独特の世界に魅入られたはずだ。

そんな彼等に、彼の作品をどんどん観てほしいと願う。
中でも是非観てもらいたいのは、もちろん「ナイトメア・・」だが、その前に、チョコレート工場に続いて公開された「コープス・ブライド」がおすすめだ。人形を使った脅威のワンストップアニメーション映画。「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の延長にある傑作だ。

花嫁になりきれなかった死者の女性に、挙式を前にした主人公が、ひょんな間違いから求婚してしまう。死者の世界と生の世界を行ったりきたりで、さあ大変!いったいどちらの花嫁と彼は結ばれるのか。結末は見てのお楽しみとしておくが、ナイトメアの時代と比べて、撮影技術が格段に進歩しているおかげか、登場する人物が、息を吹き込まれたように生き生きと動き、とてもフィギュアとは思えない。まるで、舞台を見ているようにスピリチュアルで、美しく、胸を打つ。ストーリーも冗漫さがなくシンプルで素晴らしい構成である。ナイトメアの「ゼロ」という名の子犬を彷彿させる、「スクラップ」という骨の子犬がとてもかわいい。死者の世界の住人たちの、ちょっとグロいキャラクターたちも、もちろん見ものである。

それにしても、何たる「才能」だろうか。奇才であり天才、ティム・バートンの贈り物を、この秋続けて2作も見ることが出来て、その幸せに言葉もない。“ティム・バートン、貴方はすばらしい!”(S)