ワールドカップ(その1)
 さて、と・・・。
 トリノも終わった。(WBCもあるけど)いよいよワールドカップである。
 ドーハの悲劇を思い出す。ただ「出る」ことが、サッカー界の悲願であったあの日あの時。それが今、予選リーグをどう勝ち抜くか、ベスト16を上回れるか、に。ニッポン、は、確実にレベルアップしたことは確かだろう。
 前回トルシエ、今回はジーコジャパン。
 守備重視組織重視のトルシエは、日本人の規律を尊ぶ国民性を生かした手堅い布陣でベスト16に入った。自国開催ではあったが、日本サッカー界の歴史的快挙に違いない。
 トルシエに比してビッグネーム(選手としてだが)のジーコ。彼は、個人の力、裁量を重んじた南米サッカーをニッポンに課した。組織から個人へ、守りから攻撃へ、今回のドイツワールドカップのニッポンは、大きく戦術、サッカーを変える。

 個人の力・・。
 言うまでもなく、ニッポンのもっとも不得手とするところである。ゲームメイクの中盤(攻撃的MF)は世界と伍していける人材が多少出ているが、でかくて速い相手とゴール前で対峙するディフェンス(ボランチ、最終ライン)は、正直、個人の力を問われるときつい。あの中沢がガイジン相手では小さく見える。
 さらには永遠のニッポンの課題、FWである。身体のでかさに関係なく、最後にゴールポストの隙間にねじ込む力は、テクニック、感性、セルフコントロールができる強い心が求められる。時として組織を飛び出せる我がままさもものを言う。日本サッカー界の短い歴史、土壌、国民性を考えるに、数十年に一度の天才の出現を待たなければならないポジションだろう。

 考えるまでもなく、以上の特性を見れば、日本はまず戦術組織を固めないとダメだと言える。しかるに、ジーコジャパンは、3年も経たのに、全くそれが判然としない。確かに、ボスニア戦のように、ロスタイムに蹴りこむしぶとさは垣間見せる。が、結果オーライにすぎない。3バック、4バック、ワントップ、中田の位置、あと数戦でW杯のこの期に及んでも、テストと称する日替わりショーをやっている。
 選手起用も、海外へ行った選手を、実績度外視でワンランク上に評価している。若手の抜擢も海外組みを呼べない時の召集のみで、海外組を脅かすまでに至らない。今は海外組の中での椅子争いだ。

 ジーコは選手の好みも激しい。たとえば、ジーコお気に入りの三都主。ほぼフル出場しているが、調子の波が激しい。基本的にサイドを駆け上がってセンタリングするのが持ち味だが、何しろ一対一で決定的に弱い。ドリブルが下手。前に一人ならまだしも二人になるとまず抜けない。苦し紛れに蹴ってDFに当たるか、パスミスになるかだ。三都主が持つたびに、頭を抱えてしまう。まれにトップスピードに乗ってライン深くえぐっていい球をゴール前に上げるから、ジーコはそれをかっているのだろうが、直近のボスニア戦で露呈したように、守備にいたっては全く出来ない。ここを簡単に突破されてはゲームにならない。いまや完全に穴になっている。苦し紛れのファウルが多く、ボスニア戦でも、そのファウルからのFKで1点取られた。使うなら、点を取らなくては負けるという展開でのスーパーサブ、FWに近い、サイドの攻撃的MFだろう。W杯のような短期決戦では、リスクの大きすぎる選手だ。
 FWもジーコの好みがあるようだ。が、誰が出ても、前述通り、ここは突出した選手がいないので、まあ調子のいい者を使ってよと言うしかない。

 さて、問題はDFである。唯一何とかなっていたここが、最近失点を食らっている。マークが甘いし、ボランチとの連携、4バックの時のサイドの選手との連携でバタバタしては、ぼろぼろ破綻している。センターバック中沢、宮本にしても、懸命に頑張ってはいる。中盤が簡単に突破される、両サイドの守備力が弱いからカバーに行く。と、センターの備えが甘くなる。彼等の不満はそこにあるだろう。確かにこの悪循環である。W杯では、勝ち点狙いの試合になる。失点した方が負け。3バックが一番と思うが、残された短期間で、徹底的に確認してもらいたいのは、守りである。
 それにしても、3バックだったり、4バックだったり、ジーコよ、はっきりしてよ、というのが、DFメンバーの偽らざる気持ちだろう。DFメンバーはほとんど固定されているが、失点が多いのは、中盤のメンバーとの連携にある。三都主がいい例だが、メンバーの選択とフォーメイションを再考し固める時だ。

 3月5日のJリーグ。メッシーナ(イタリア)で1点も取れなかった日本代表FWの柳沢が、復帰した鹿島での開幕戦でいきなりハットトリックの大活躍。はたしてこれを喜んでいいのか、それともJ1の世界の中でのレベルが所詮その程度だったのか、複雑な思いがした。世界ランクの順位が、だいぶかさ上げされているのは確かだろう。
 手を打てるのは、残すところのエクアドル戦、キリン杯での2戦、現地に飛んで直前のドイツ戦の4試合のみ。ジーコさん、もうテストの時期ではないだろう。トリノの二の舞にならないよう、よろしく頼みますよ、ホントに。(S)