| 小沢一郎登場 |
| キャバクラ嬢とエリート官僚対決。結果は衆知の通りだが、小沢一郎の株が上がってきたようだ。5年に渡った小泉劇場。古い政治家は抵抗勢力と押しのけられ、テレビ映りのいい政治家や、若手、それに、チルドレン議員たちばかりが闊歩していた。合言葉は「改革」。改革さえ叫んでおけば、さも新しげに国民には見えた。マスコミも煽った。 小沢一郎は、お世辞にもいい男ではないし、古い頑固そうな男である。思想的にも保守政治家だろう。誰がつけたか壊し屋の異名もちょっと怖い。強面の男の価値が再評価されたのだとしたら、小泉劇場で始まった政治の潮目も変わってきたのだろうか。 それはそうだ。偽メール事件で漁夫の利を得た自民党は、耐震偽装事件と国交省の責任問題、防衛庁の施設汚職事件、ホリエモン事件とそれを担ぎ出した自民党政権中枢との深い闇等々を、結局うやむやにしてしまった。偽メールで民主党をたたいていた世論も、冷静になってみれば、問題が何も解決していないことに気付く。選挙終了を待っていたかのように明らかになった、総額3兆円にもなると言われる米軍グアム移転及び米軍再編経費の負担の報道(オドロキ!)。 常日頃ひそかに小沢一郎の言動を注視していた。権力の側にいないのでなかなかその動静は伝えられないが、常に、彼らしい一言居士の言葉を発していたように思う。 民主党の党首選を菅直人と争っていた時、サンデープロジェクトで田原総一郎から、小泉政治の象徴である格差社会に対して、小沢さんはどう国民を守るのかと問われて即座に「最大のセーフティネットは、終身雇用制と年功序列だ」と応えたのはさすがだった。 もちろん年功序列も終身雇用も、今の国際競争の枠組みでは往年の復活は難しい。しかし、すべてを市場原理にゆだねるのだとしたら、国家も要らないし政治も要らないということになる。経済の安定と国際競争力の強化、それを目指しながらも国民一人ひとりの最低限の生活保障を担保する、それこそ政治家の使命ではないのか。 自由主義は=マネー主義に様変わりしている。デリバティブ取引を駆使した、バーチャルなマネーが実体経済を離れてグローバル化し国家の統制を離れつつある。市場主義=無制限の金融市場主義であり、統制の利かない無国籍のマネーがバーチャルに飛び交い、持たざる国、民をターゲットに嵐のように襲い、やがて世界を食い尽くす。ババ抜きのゲームのように、最終的には地球規模で誰かがその負債を負うことになるはずである。 アメリカの国際会計基準をグローバルスタンダードとして、まるで憲法のようにあがめ、率先して追随した日本企業だが、そもそもこれこそアメリカの国家戦略レベルの、ドル通貨体制維持と世界経済覇権への周到な戦略なのである。バブルに苦悩する日本経済、そしてよりどころとなる企業が、ハゲタカファンドと呼ばれる外資に底値で買い叩かれてしまった。構造改革は結果として外資を太らせ、競争原理導入で企業の淘汰が続き、大義名分の元に一気のリストラが実行されたのである。 今日の時価総額経営、資本の論理、競争主義への無条件の礼賛。それらは副作用として、社会のモラルを著しく低下させた。企業においても人においても、である。ライブドア事件、耐震偽装、少年犯罪など深刻な社会事件の多発を誘発したとも指摘できるだろう。 小沢一郎にそれが解決できると考えるのも早計だろう。ただ、数少なくなった政治家らしい政治家でもある。この国の立ち位置を正す契機としての役割は期待してみたい。 (S) |