スポーツ、光と影

 過ぎた話題になってしまうが、ディープが有終の美を飾った。
 アドマイヤメインが引っ張り、3コーナー過ぎから予想通りダイワメジャー、メイショウサムソン、コスモバルクといった有力馬が動いた。しかし2番手(実質一番手)の安勝ダイワメジャーの仕掛けはやや遅めだった。そのおかげで後方待機のディープは馬なりで3、4コーナーで先行集団の後ろに取り付けた。ここまで、もまれずこすられず。こうなれば瞬発力の違い。直線短い中山コースもなんのその、馬群を避けて大外の安全策を取っても、ゴールではたづなを押さえる余裕で突き抜けた。まあ、どう乗っても勝っただろうという強さだった。
  ディープの群を抜いた強さ、それは誰も異論なく認めるだろう。が、有馬記念が終わっても、胸にもやもやしたものが残るのは否めない。その源は、やはり凱旋門賞の薬物疑惑である。真相はJRAや関係者が発表した通りとは到底信じられない。ファンへの説明が十分されたとも言えない。禁止薬物がうっかり寝ワラに飛び散っていて、それを知らずにディープが食べてしまい検出されたという説明は、安物のミステリーの台本を見せられたようで解せない。日本から水も持っていくほど万全の体制で早々にフランスへ渡り、厩務員関係者が24時間張り付くなど、莫大な遠征費用をかけた陣営が、こんなケアレスな間違いを起こすだろうか。今もって納得がいかない。引退式も終わり種牡馬として北海道に帰るディープと池江調教師の別れの写真がセンチメンタルにスポーツ紙の一面を飾っていた。あくまで美談として有終を飾るスポーツ紙の姿勢に、JRAと持ちつ持たれつの関係を垣間見たようで、不愉快を禁じえなかった。もちろん、ディープには何の責任もないし、汚名もない。彼は人々に長く語り継がれる名馬となるだろう。ゆっくり休んでもらいたい。が、50億を超える種付けのシンジケートがそれを許してくれない。競馬をとりまく人々の欲望は尽きない。ディープインパクトはこれからも翻弄され続けるだろう。競走馬の宿命と言ってはそれまでであるが・・
 転じて、昨年、スポーツ界ではビッグスターに多くの事件が起こった。Wカップのジダンも世界中が見つめていた決勝戦で彼の名声に影を落とす事件を起こした。イタリアセリエAの八百長事件も露呈した。ボクシング界では、とどまることを知らない寵児であった亀田ファミリーを奈落に落としたランエダとの疑惑の世界戦。ツール・ド・フランスの栄光のチャンピオンの驚愕の薬物疑惑事件、薬物疑惑といえばメジャーリーグのバリー・ボンズらの行方もくすぶり続けている。
 07年、最早世界レベルのビッグビジネスになったスポーツ界はさて、どんな話題を与えてくれるのだろうか。(S)