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牝馬のウオッカが牡馬の祭典ダービーを制した。競馬史上とてつもない快挙である。それも圧勝だった。2400mの長距離で上がり33秒0(ゴールまでのラスト600m)は、あのディープインパクトの33秒1に並ぶ脅威の末脚である。テレビでおなじみの関口オーナーの圧倒的1番人気フサイチホウオーは7着に惨敗。(ワタシは馬券で惨敗!)
TVで見ていて、パドックのウオッカの気配は抜群だった。身体が柔らかくリズミカルに気分良く周回していた。適度の気合と落ち着き。馬場に出て、キャンターで、輪乗りで、さらに気配はよくなった。毛づやがぴかぴかである。牝馬らしからぬ雄大な馬格だが、しなやかでそれは美しい。一方、断然人気のフサイチホウオーはおかしかった。興奮してテンションが上がりっ放し。首を激しく上下したり、小走りに走ったりで、鞍上の安勝を終始困らせていた。明らかに気合の乗りすぎ、(これでは消耗してしまう!)レース前からイヤーな予感が駆け巡った。果たして、上記の結果である。
デビュー以来、ウオッカの走りを見ていて、ボクは生涯忘れえぬ一頭の牝馬に、ずっと思いをダブらせていた。ダービーで、直線で抜け出し大きく離してゴール板を駆け抜けるウオッカの姿を見ていて、それは確信に変わった。
その牝馬こそ、今から30年ほど前、4歳のオークスを8馬身差で圧勝したテスコガビーである。テスコボーイ産駒の最高傑作テスコガビーも牝馬にしては立派な体躯だった。黒光りしたその馬体は、力強く、それでいて、美しかった。テスコガビーは、この年、桜花賞も制していて、牝馬クラシック2冠の名馬となった(生涯10戦7勝)。オークスのレースをボクは東京競馬場の指定席で見ていた。今でも、先頭で4コーナーを回り、ぶっちぎったレースを昨日のことのように覚えている。このとき牡馬(雄馬)のクラシックを席巻したのがカブラヤオーだった。断然強い2頭がオス、メス、それぞれの頂点に鎮座した年だった。
ウオッカの姿は、そのテスコガビーを思い起こさせた。テスコガビーは、あろうことか、その翌年、心臓疾患で早世してしまった。その悲しみは今も忘れない。3歳サラブレットの頂点に立ったウオッカは、今秋、凱旋賞(フランス)に挑戦との事である。期待されて敗れ去ったディープインパクトの仇を討って欲しいと、大いに盛り上がること請け合いであるが、ボクには、ただひたすら、無事に競走馬生活を全うし、いつかいい子を生んで欲しいと思うばかりである。もし、テスコガビーが無事だったら、素晴らしい子をこの世に残したに違いない。競馬好きの勝手な願いであり、当の馬には何の関係のない話には違いないが、そんな思いに浸った今年のダービーだった。(S)
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